どんな場所か
奈良県明日香村の静かな竹林の丘にひっそりと横たわる「酒船石(さかふねいし)」は、飛鳥時代を代表する謎多き石造物のひとつです。巨大な花崗岩の平らな上面には、円や楕円のようなくぼみと、それらを複雑につなぐ溝が幾何学的に彫り込まれており、現代の抽象彫刻のような独特の美しさを漂わせています。
伝説・来歴
江戸時代の文献などでは、このくぼみを使って酒や油、薬などを絞り出していたという言い伝えから「酒船石」と呼ばれるようになったと語られています。しかし、近代以降の研究では、庭園に水を流すための導水施設だったという説や、天文観測器具、さらには道教的な儀式に用いられた祭祀壇ではないかとする説など、多角的な推測がなされてきました。2000年には近隣から水路と組み合わされた「亀形石造物」が発見され、酒船石を含めた丘全体が斉明天皇時代の壮大な水辺の祭祀施設であった可能性が高まっていますが、その正確な用途は現在も完全には解明されていません。
訪ねるなら
近鉄「飛鳥駅」または「橿原神宮前駅」から周遊バスやレンタサイクルを利用してアクセスするのが便利です。小高い丘の遊歩道を登った先にあり、豊かな自然とともに古代のロマンを肌で感じることができます。近隣の飛鳥寺や石舞台古墳など、点在する古代遺跡とあわせて散策するのがおすすめです。




