妖怪文化が集う日本初の常設博物館

広島県三次市にある「三次もののけミュージアム」(正式名称:湯本豪一記念日本妖怪博物館)は、2019年に開館した日本初の常設妖怪博物館です。民俗学者・湯本豪一氏から寄贈された膨大な妖怪コレクションを中心に、絵巻や錦絵、工芸品など、古くから人々が描いてきた多様な妖怪資料が展示されています。デジタル技術を活用した体験型の展示もあり、子どもから研究者まで幅広い層が妖怪文化に親しめる施設となっています。

『稲生物怪録』の舞台として伝わる地

三次市がこのミュージアムの地として選ばれた背景には、江戸時代中期に生まれた有名な妖怪物語『稲生物怪録(いのうもののけろく)』の存在があります。物語の主人公である実在の三次藩士・稲生平太郎が、16歳のときに30日間にわたって次々と現れる怪異に耐え抜いたという伝承です。最終日に妖怪の首領である山本五郎左衛門からその勇気を称えられ、木槌を授けられたと語り継がれています。この物語は後世の作家や絵師にも大きな影響を与え、数多くの絵巻や文学作品の題材となりました。

訪ねるなら

ミュージアムで妖怪の歴史や造形を堪能した後は、平太郎が怪異を体験したとされる屋敷跡や、ゆかりの寺社など市内に点在する関連スポットをめぐるのがおすすめです。歴史ある城下町の風情を感じながら、古くから伝わる怪異譚の舞台を歩くことで、当時の人々が妖怪に寄せた想像力に思いを馳せることができます。