劇場型犯罪の先駆け\n1984年(昭和59年)に関西を中心に発生した「グリコ・森永事件」は、食品会社などを標的とした一連の企業脅迫事件です。犯行グループが「かい人21面相」と名乗り、警察やマスコミに向けて多数の挑戦状や脅迫状を送りつけたことから、日本における「劇場型犯罪」の代表例として知られています。\n\n### 社会を揺るがした一連の騒動\n事件は食品メーカー社長の誘拐事件に始まり、その後、複数の大手菓子メーカーへの脅迫や、店舗に置かれた商品への異物混入予告へと拡大しました。犯行グループからのメッセージがメディアを通じて公開されるたびに世間の注目を集め、一時は全国の店頭から対象商品が撤去されるなど、社会全体に大きな不安と混乱をもたらしました。\n\n### 迷宮入りと語り継がれる謎\n警察は延べ数十万人規模の捜査員を投入して追跡を続けましたが、犯行グループの特定には至りませんでした。1985年には犯行グループから突如として活動停止を告げる手紙が届き、事態は沈静化しました。そして2000年(平成12年)にすべての事件の公訴時効が成立し、真相は未解決のままとなりました。現在でも昭和史を代表する未解決事件として、多くの人々に語り継がれています。