存在しない国からの入国者

1954年の夏、羽田空港(東京国際空港)の入国審査場に見慣れない男が現れたと伝えられています。男が提示したパスポートは精巧な正規のものでしたが、発行国として記されていたのは「タウレッド(Taured)」という世界地図に存在しない国名でした。審査官が男に世界地図を示して場所を尋ねると、男はアンドラ公国の位置を指差し、「なぜここに別の国名があるのか。タウレッドは千年以上の歴史を持つ国だ」と困惑した様子を見せたといいます。

密室からの失踪と真相

偽造パスポートの疑いを持たれた男は、身元確認のため警備付きのホテルの一室に収容されました。しかし翌朝、部屋の扉や窓には厳重な監視が続いていたにもかかわらず、男は荷物とともに忽然と姿を消してしまったと語られています。このエピソードは、パラレルワールド(並行世界)から誤ってこちらの世界へと迷い込んだ人物ではないかとして、世界的なオカルト愛好家やSFファンの間で長年語り継がれてきました。

伝説の元ネタと背景

現在では、この伝説は1959年に東京で実際に起きた詐欺・偽造文書事件が元になっているという見解が有力です。実在しない架空の国家「タウレド」の偽造パスポートを使い入国しようとしたジョン・ジーグラーと名乗る人物の事件が、海外のオカルト書籍などに引用される過程で脚色され、平行世界のミステリーとして広まったと考えられています。