常に七人で彷徨う霊たち

「七人ミサキ(七人みさき)」は、高知県をはじめとする四国地方や中国地方などの沿岸部に広く伝わる集団亡霊の伝承です。海や川などの水辺に現れるとされ、非業の死を遂げた者たちの霊が寄り集まったものと語られています。

伝承によると、七人ミサキに出遭った者は高熱を出して命を落とすとされています。そして、命を奪われた者が新たに七人ミサキの末尾に加わり、代わりに先頭にいた1人が成仏して去っていくため、その数は常に「七人」のまま保たれると言い伝えられています。

民俗学における「ミサキ」の解釈

民俗学において「ミサキ(御先・岬)」とは、本来は神仏が出現する際の前触れとなる神霊や、祀られることのない無縁仏・怨霊などを指す言葉として研究されています。土佐地方には戦国時代の合戦にまつわる落武者伝説と結びついた話も多く、歴史的な悲劇が語り継がれるなかで生まれた霊信仰とも捉えられています。

また、海難事故や水難事故が多発する危険な水辺に対して、人々が警戒を怠らないようにするための戒めとして機能していた側面もあると考えられています。恐ろしい怪異でありながら、自然の脅威や先人たちの鎮魂への意識を映し出す伝承として知られています。