捨てられた人形からの着信
「メリーさんの電話」は、日本の都市伝説を代表する怪談の一つです。引っ越しや大掃除の際に少女が捨てた外国製の人形「メリーさん」から、ある夜突然電話がかかってくるという筋書きで広く語られています。
距離が縮まる語りの構造
この怪談の大きな特徴は、電話のたびに人形が現在地を告げ、少しずつ語り手に近づいてくるカウントダウンのような語り口にあります。「わたしメリーさん。いまゴミ捨て場にいるの」「いま駅に着いたの」「いま家の前にいるの」と段階を踏んで距離が縮まり、最後に「いまあなたの後ろにいるの」と告げられたところで物語は結末を迎えます。
都市伝説としての広まり
発祥の正確な時期や場所は特定されていませんが、昭和後期から平成初期にかけて口承や子ども向けの怪談本を通じて全国に広まりました。アメリカの有名な都市伝説「ベビーシッターと2階の男(不審電話の発信元が同じ家の中だったという話)」など、通信機器を介して危険が忍び寄る海外の怪談類型からの影響も指摘されています。
時代が固定電話から携帯電話へと移り変わる中でもアレンジされながら語り継がれており、電話という身近な道具と人形への愛着・罪悪感を巧みに組み合わせた、秀逸な構成の現代民話といえます。




