望遠鏡のない時代に知られた連星の謎
西アフリカのマリ共和国に暮らすドゴン族には、肉眼では見えないはずの天体に関する高度な知識が古くから伝わっていたという有名な話があります。その中心となるのが、おおいぬ座の恒星シリウスに関する伝承です。
ドゴン族はシリウスに極めて重く小さな伴星(現代でいう白色矮星のシリウスB)が存在し、それが約50年周期で公転していることを知っていたと語られています。さらに伝承では、かつてシリウス星系から天馬のような船に乗ってやってきた「ノンモ」と呼ばれる半人半魚の水陸両棲の神から、これらの天文学の知識を授けられたと信じられているそうです。
古代宇宙飛行士説と真相をめぐる議論
この話は、フランスの人類学者マルセル・グリオールらの調査報告をもとに、1970年代にロベール・テンプルが著書『シリウス・ミステリー』で紹介したことで世界的なブームとなりました。古代において地球外生命体との接触があった証拠ではないかとして、古代宇宙飛行士説の代表例として語られるようになったのです。
しかし、後の研究者による再調査では疑問符も投げかけられています。ドゴン族が語った内容は、調査以前に訪れたヨーロッパの宣教師や旅行者、あるいは天文学に詳しかった研究者自身からもたらされた知識が混ざり込んだ結果ではないかという説が有力視されています。真相には諸説あるものの、アフリカの伝統的な神話と宇宙探求のロマンが交錯した魅力的な伝説として語り継がれています。




