遺跡から見つかった謎の土器
バグダッド電池とは、現在のイラク・バグダッド近郊の遺跡から発見されたとされる、紀元前のパルティア時代またはササン朝時代の土器です。高さ14センチほどの黄色がかった素焼きの壺の中に、アスファルトで固定された銅製の筒と、その中に差し込まれた鉄の棒が収められていました。
古代の電池という仮説
1930年代、イラク国立博物館の考古学者ヴィルヘルム・ケーニヒは、この構造が現代の化学電池と非常に似ていることに注目しました。実験の結果、壺の中に酸性の液体(酢やワインなど)を満たすと、実際に微弱な電流が発生することが確認されています。このことから、古代人が金や銀の電気メッキ技術に用いていた、あるいは儀式や医療で電気ショックを与えて神秘的な効果を生み出していたのではないか、というロマンあふれる仮説が語られるようになりました。
懐疑的な視点と現在の見解
一方で、懐疑的な考古学者からは「宗教的な祈祷文やパピルスの巻物を腐食から守るための保管容器だったのではないか」という指摘もなされています。当時の遺跡から電線やメッキされた加工品などの決定的な証拠が見つかっていないこともあり、実際に電池として機能させていたのかは現在も定かではありません。古代の驚くべきテクノロジーなのか、それとも偶然の産物なのか、今も議論が続く有名なオーパーツの一つです。




