富士山麓に栄えた幻の王朝

日本の霊峰・富士山の北麓(現在の山梨県富士吉田市周辺)に、かつて強大な古代王朝が存在したという伝説があります。この「富士王朝(富士高天原王朝)」の伝承は、山梨県の旧家に代々伝わったとされる古記録『宮下文書(富士古文書)』に記されていることで知られています。

『宮下文書』が語る超古代史

伝承によれば、日本神話に登場する「高天原」は富士山麓にあり、歴代の神々や天皇がこの地を拠点に国を治めていたと語られています。また、秦の始皇帝の命を受けて来日したとされる「徐福」が、この地の歴史を編纂して残したものが宮下文書の起源であるとも伝えられています。しかし、度重なる富士山の大噴火によって王朝の都は灰燼に帰し、歴史の表舞台から姿を消したとされています。

近代の創作とされる偽書説

明治時代から昭和初期にかけて広く紹介され、古代史愛好家や一部の研究者の間で大きな注目を集めました。しかし、現代の歴史学・国文学の分野においては、使用されている語彙や文体、思想的背景などから、後世(江戸時代から明治期以降)に創作された「偽書」であるとする見解が一般的です。史実とは認められていないものの、富士山信仰の広がりと古代へのロマンを象徴する伝承文化として、今なお興味深い題材として語り継がれています。